放射線被爆のない新しい検査:DWIBS
相双地区を復興させたい多くの方の熱い思いに共感しており、私も微力ながら協力したいと考えています。
MRIの拡散強調画像は、脳梗塞の早期診断に有用だけではなく、胸部、腹部および乳腺・婦人科領域・泌尿器領域の悪性腫瘍の診断でも有用であり、骨転移を含めた遠隔転移診断も可能となっています。MRIは、放射炎被爆が全くなく、良悪性の鑑別・遠隔転移の検索および膿瘍の検索にとても有用です。
図 肺がんのCT画像とMRI拡散強調画像
全身のがん病変を、1回の検査で検索するMRI検査のDWIBS(ドゥイブス:Diffusion-weighted whole-body imaging with background suppression 背景抑制広範囲拡散強調画像、全身性拡散強調画像)では、PET-CTと同様にがん病変を検出することが可能で、がん病変は白く光るため認識が容易です。放射線被爆にアレルギーのある相双地区の住民健診でも有用と考えています。一言でいうと、DWIBSは放射線被爆のない安価なPET-CTとも言えます。PET-CTと、DWIBSはほぼ同じ成績で、DWIBSがPET-CTより上回るものもありますし、PET-CTがDWIBSを上回るものもあります。
DWIBSで容易に発見できる悪性腫瘍は、肺癌、乳癌、大腸癌、泌尿器癌、婦人科癌等で、炎症があるとわかりにくいのは胃癌です。金沢医科大学頭頸部外科学講座 下出祐造先生によると、甲状腺癌も発見できる可能性があります。
放射線被爆にアレルギーのある相双地区の住民健診にDWIBSが活用されることを期待しています。
下出祐造、他:「甲状腺濾胞性病変におけるマルチモダリティ評価の有用性」 頭頸部癌 46(1):52—58,2020.