1. 肺腫瘤陰影の診断におけるMRIの有用性 (図7)
多数の論文を集めてMRI(DWI)のメタ解析を行った2編の論文では、MRI(DWI)が肺の良悪性病変の鑑別診断に有用と報告されています。
Li B, et al. Acad Radiol 2014; 21: 21-9.
Shen G, et al. Eur Radiol 2016; 26: 556-66.
また、MRIとPET-CTとの診断成績を比較した次の2論文では、MRI(DWI)の診断成績は、PET-CTと同等ないしそれ以上と報告されています。図8に著者らのデータを示します。
Usuda K, et al. Asian Pac J Cancer Prev.15 (11):4629-4635, 2014 (図8)
Mori T, et al. J Thorac Oncol 2008; 3: 358-64.
2. 肺がんの臨床病期の診断におけるMRI(DWI)の有用性 (図9-12, 13, 14,15)
図9-13に示す通り、MRI(DWI)は、PET-CTと類似性があり、肺がん例で肺がん原発巣とリンパ節転移を描出しますが、MRI (DWI) がより正確なことが少なくありません。
図11では、肺門部の2.1mm径のリンパ節転移は、PET-CTでは陰性でしたが、MRI(DWI)は陽性でした。図12では、珪肺(けいはい)でPET-CTで誤陽性となった縦隔リンパ節は、MRI(DWI)で陰性であり、より正確に診断できました。
図13に示す通り、MRI(DWI)は、PET-CTに比較し、より小型のリンパ節転移を検出できることが判明しました。
肺がんのリンパ節転移について、MRI(DWI)とPETの診断能の比較を示します。
転移性リンパ節の感度および正診率:MRI(DWI)> PET
MRI(DWI)の多数の論文の解析を行ったPeerlingsらのメタ解析では、リンパ節診断の感度(病理で転移陽性症例を、術前検査で転移陽性と判断した割合)は0.87、特異度(病理で転移陰性症例を、術前検査で転移陰性と判断した割合)は0.88でした。
Peerlings J, et al. Radiology 2016; 281: 86-98.
Shenらは、MRI(DWI)によるN因子の評価は有用と結論づけました。
Shen G, et al. AJR Am J Roentgenol 2016; 206: 283-90.
160例の肺がん例によるN因子の正診率(病理で転移陽性例を、術前検査で転移陽性、病理で転移陰性例を検査で転移陰性と診断した割合)を検討した薄田の自検例では、MRI(DWI)の正診率は96.2%と、PET-CTの94.3%より有意に良好でした。
MRI(DWI)による転移性リンパ節の感度および正診率は、PET-CTのそれより有意に高いと結論されました (図15)。
Usuda K, et al. Ann Surg Oncol 20; 1676-1683: 2013.
Usuda K, et al. Ann. Thorac. Surg. 91(6): 1689-1695, 2011.
3. 肺がんの血管・心臓・胸壁・横隔膜・縦隔浸潤におけるMRIの有用性
肺がんの血管・心臓・胸壁・横隔膜・縦隔浸潤の評価は、MRIによる評価がゴールド・スタンダードです。このことは、30年以上前から明らかになっており、CTやPET-CTでは、肺がんの血管・心臓・胸壁・横隔膜・縦隔浸潤の評価は不十分です。
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2021/6/4 薄田 勝男