呼吸器外科専門医が考えるMR検査の近未来展望: The future is at hand: MRI examinations of lung and thoracic disease
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専門家の皆様へ T2WIの有用性

12. 専門家の皆様へ T2WIの有用性

DWIの弱点とされる肺膿瘍と肺がんの鑑別診断が、T2強調画像(T2WI)で可能であることが判明しました。T2WIでは、水が白く描出され、質的評価が可能です。

Usuda K, Iwai S, Yamagata A, Iijima1 Y, Motono N, Matoba M, Doai M, Hirata K, Uramoto H. Novel Insights of T2-Weighted Imaging: Significance for Discriminating Lung Cancer from Benign Pulmonary Nodules and Masses. Cancers 2021; 13(15): 3713, doi: 10.3390/cancers13153713

要旨: 拡散強調画像は、肺がんと良性肺腫瘤(BPNMs)の鑑別に有用であるが、完璧な診断法ではない。この研究の目的は、T2強調画像(T2WI)が肺がんと良性肺腫瘤の鑑別に有用かどうかを示すことである。肺腫瘤のT2 contrast ratio (T2 CR)は、肺腫瘤のT2 signal intensity を菱形筋のT2 signal intensityで割った値と定義した。肺がん52例、炎症性良性肺腫瘤40例(抗酸菌12, 肺炎 13, 肺膿瘍 9, その他 6)、非炎症性良性肺腫瘤7例を対象とした。肺がんのT2 CR (2.14 ± 0.63) は、良性肺腫瘤の2.68 ± 1.04に比較し有意に小であった(p = 0.0021)。肺がんのT2 CR は、肺膿瘍の2.93 ± 0.26に比較し有意に小であった(p = 0.011)。ROCカーブによる解析でT2 CRの至適カットオフ値を2.44とすると、感度は0.827 (43/52)、特異度は0.596 (28/47)、正診率は0.717 (71/99)、陽性的中率(PPV)は 0.694 (43/62)、陰性的中率(NPV)は 0.757 (28/37)であった。T2強調画像のT2 CRは肺がんと良性肺腫瘤の鑑別に有用であった。肺膿瘍は、拡散強調画像で肺がんと同様に強い拡散能の低下を示すが、T2強調画像を用いて、肺がんと鑑別が可能である。    

 

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薄田 勝男
呼吸器外科専門医として長年肺癌診療に携わってまいりました。 このサイトでは肺がん診断におけるMRIの有効性をご紹介しております。

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