呼吸器外科専門医が考えるMR検査の近未来展望: The future is at hand: MRI examinations of lung and thoracic disease
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専門家の皆様へ 肺腫瘤陰影の評価 MRI とPET-CTの比較

13.  肺腫瘤陰影 (PNMs).  MRI vs PET-CT     (Figure 50-61)

最近、肺腫瘤陰影の良悪性の鑑別に、拡散強調画像とT2強調画像を組み合わせたMRIが FDG-PET/CT よりも有効であることを報告した。

Usuda K, Ishikawa M, Iwai S, Yamagata A, Iijima1 Y, Motono N, Matoba M, Doai M, Hirata K, Uramoto H. Pulmonary Nodule and Mass: Superiority of MRI of Diffusion-Weighted Imaging and T2-Weighted Imaging to FDG-PET/CT.  Cancers 2021, 13 (20), 5166; https://doi.org/10.3390/cancers13205166

要旨: この論文の目的は、肺腫瘤の良悪性の鑑別に、拡散強調画像とT2強調画像を組み合わせたMRIとFDG-PET/CTの診断精度を比較することである。328 例の肺腫瘤(肺癌278例、良性肺腫瘤50例)に対して、FDG-PET/CTとMRIを施行した。T2 contrast ratio (T2 CR) は、肺腫瘤のT2 signal intensityを菱形筋のT2 signal intensity で割った比と定義した。鑑別診断のための至適カットオフ値 (OCV) は、SUVmax値では3.605、ADC値では1.459 × 103 mm2/s、T2 CR値では2.46と算出された。Areas under the receiver operating characteristics curves (AUC)は、SUVmaxで67.5%、ADCで74.3%、T2 CRで72.4%であった。SUVmaxの感度(0.658)は、ADC の感度(0.838)、さらにT2 CR の感度(0.871) より有意に低値であった(p < 0.001)。SUVmaxの特異度(0.620)は、ADC の特異度(0.640)、さらにはT2 CRの特異度 (0.640) と同様であった。SUVmaxの正診率(0.652)は、ADCの正診率(0.808)やT2 CR の正診率(0.835)より有意に低値であった(p < 0.001)。 MRIの拡散強調画像およびT2強調画像の感度・特異度は、FDG-PET/CTのそれらより有意に高値であった。究極的に、MRIは、その診療の質を損なうことなく、保険制度の費用を節約し、肺腫瘤の鑑別診断でのFDG PET/CTの役割ととって変わることができる

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薄田 勝男
呼吸器外科専門医として長年肺癌診療に携わってまいりました。 このサイトでは肺がん診断におけるMRIの有効性をご紹介しております。

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